WISC-Ⅳの臨床的利用と解釈

※画像提供:日本文化科学社

 

アウレリオ・プリフィテラ,ドナルド・H・サクロフスキー
ローレンス・G・ワイス 編
上野一彦 監訳  上野一彦 バーンズ亀山静子 訳

発行元 日本文化科学社
価格 4,630円(本体)+税 
商品コード 001-164
サイズ A5判 612頁

≪お知らせ≫ 2015年1月1日より本体価格6,000円+税 → 4,630円+税に変更となります。
概要

第1部では、「臨床的解釈の基礎」として、WISC-Ⅳについてのアマリカでの研究、FSIQの解釈、一般能力指標(GAI)の紹介と解釈、指標得点の解釈、WISC-Ⅳインテグレーテッドの紹介を掲載。

第2部では、「臨床事例アセスメント」として、LD、ADHD、ギフテッド、知的障害、言語障害、聴覚障害、脳障害などの臨床群へのWISC-Ⅳの利用例とケース研究を掲載。

目次

第1部 WISC-IV:臨床的解釈の基礎
 第1章 臨床的アセスメントにおけるWISC-IV
はじめに
改訂の解説・理論的根拠・目標
Gordon AllportとHenry Murraへの回帰:診断ツールとしてのWISC-III・WISC-IV
アセスメントの一部としてのIQ検査結果の利用
諸外国におけるWISC-IIIのマイノリティ集団への使用
終わりに
文献
第2章 WISC-IVのFSIQとGAIの臨床的解釈
知能および心理測定・アセスメントをめぐる問題
知能とWISC-IV
WISC-IVの全検査IQ
一般知的能力を表すもう1つの総合得点:一般能力指標(GAI)
知的能力―学力間のディスクレパンシー:GAIとWIAT-II
一般的な解釈の方法
臨床的考察
追加的考察:FSIQを超えて
文献
アペンディクスA:WISC-IV指標得点と全指標平均との比較表(R. Stewart Longman)
統計的有意性と差異の異常性
第3章 WISC-IV 指標得点の解釈
WISC-IV の言語理解指標(VCI)の解釈
WISC-IV の知覚推理指標(PRI)の解釈
WISC-IV のワーキングメモリー指標(WMI)の解釈
WISC-IV の処理速度指標(PSI)の解釈101
ワーキングメモリーと処理速度のダイナミックな相互関係
得点解釈の伝え方
文献
事例
第4章 WISC-IVインテグレーテッド
プロセスアプローチの歴史的流れ
認知アセスメントにおけるプロセスアプローチ
プロセスアプローチと他の検査解釈の枠組みとの比較
プロセスアプローチのWISC-IVインテグレーテッドへの適用
要約
事例
文献
第5章 各種アセスメントのためのマルチレベル統合モデル
背景
マルチレベル統合アセスメント
本章の概要
分岐アセスメント
教育指導アセスメント
プロフィールアセスメント
結論
文献

第2部 WISC-IVと臨床事例アセスメント
 第6章 研究に裏付けられた特異的LDの判断
背景
本章の概観
ディスレクシア(読字障害)
言語性LD
ディスグラフィア(書字障害)
特異的算数・数学障害
ディスレクシアや他のLDの臨床的診断や研究におけるWISC-IVの使用
知能検査と賢い検査実施
文献
第7章 WISC-IVによる注意欠陥多動性障害のアセスメント
ADHDの診断分類
サブタイプをめぐる問題
ADHDの概念説明
方法論的考察:注意事項
分類と概念をめぐる問題:アセスメントと知能測定の役割
ADHDサンプルにおけるウェクスラー検査の心理測定的特性
WISC-IVのADHD診断への利用
他のプロフィール
ADHDのアセスメントにWISC-IVを用いる理由
事例―ライアン
文献
第8章 WISC-IVを用いたギフテッドのアセスメント
ギフテッドの定義
文献レビュー
WISC-IV標準化サンプル:ギフテッドのプロフィール
WISC-IVへの改訂はギフテッドの判定にどのような影響を及ぼすのか
事例研究―アマンダ
ギフテッドの包括的なアセスメントの一環としてのWISC-IVの利用
GRS(ギフテッド評定尺度):包括的ギフテッドアセスメントの一環
事例研究―カイリー
検討
文献
第9章 知的障害のアセスメント
知的障害の定義
知的障害の程度
知的障害の病因論
適応機能
全人口における知的障害の出現率
WISC-IVを用いた知的障害のアセスメント
診断上および臨床上の問題
平均への回帰
能力を最大限引き出す検査実施:知的障害のある児童を検査する際に考慮すべきこと
検査結果に影響を及ぼす可能性のある8つの事項
結論
事例研究
文献
第10章 言語障害
言語障害の定義399
言語障害における認知的特性把握
WISC-IIIと言語障害
WISC-IVと言語障害
言語障害における臨床的解釈
事例研究
結論
文献
第11章 聾・難聴者へのWISC-IVの使用
聾・難聴児のアセスメントにおける問題点
近年のアセスメントにおける配慮措置の進歩とウェクスラー検査
先行研究と提言
聾・難聴者におけるWISC-IVの使用
結論
文献
事例研究による例証
第12章 WISC-IVの使用における文化的配慮
民族的マイノリィティ集団における異質性
ウェクスラー検査結果に見る民族間の差異
移民パターンと換算表利用
事例研究
現アセスメント
事例の要約
結論
文献
第13章 WISC-IVと神経心理学的アセスメント
神経心理学的アセスメントと研究におけるWISC-III
WISC-IVにおける変更
神経心理学的アセスメントへの意味
WISC-IVの妥当性
事例研究
結論
文献
第14章 WISC-IVに伴う検査行動のアセスメント
検査実施プロセス
評定者の観察は検査実施において重要である
検査結果に影響を及ぼす7つの重要な特性
中度から重度の障害状態
背景情報と個人的特性
非公式なプロセスを用いることの利点
非公式なプロセスを用いることの欠点
受検行動を測定する他の公式な尺度
児童の検査行動に関する実証的研究
検査行動観察フォーム:実証的に得られ標準化された尺度
WISC-IIIとWIATのための検査行動アセスメントガイド
2つの検査実施基準への回帰
事例研究
結論
文献

著者索引
索引
訳者あとがき

 


 

「訳者あとがき」より

 米国でWISC-IVが完成したのが2003年,WISC-III発刊が1991年であるから,わずか12年後であった。本書の発刊は2005年で,我々が日本版WISC-IV作成に着手し始めたところだった。検査そのものの標準化サイクルの短さと,検査完成後,すぐにこうした本格的な専門書が発刊されるというそのスピード感にまず圧倒された。
日本版標準化が軌道に乗り始めてから本書を改めて手に取る余裕ができた。WISC-IIIとWISC-IVは,そのコンセプトは類似していても,検査としての完成度が全く違う。世界約30ヵ国で70年近くも使い続けられてきた知能検査であるウェクスラー検査にしても,単にIQを算出したり,学力との差からLDを判断したりするだけではなく,科学的に脳の機能を推定するための包括的な理論に基づき,教育指導や医療につながる有効な情報をいかに提供できるかが強く求められる時代を迎えつつある。

 本書によって,なぜWISC-IVへの改訂が急がれたのか,そして新しい世紀にふさわしい検査として豊富な臨床・研究データに裏付けられているのかがよく分かる。本書の翻訳は,日本版作成作業の合間合間に進めたが,約1年を要した。そこから得られる情報は新鮮で,食事をとるのも忘れる程,私を興奮させた。
認知機能に特異な特徴を持つ児童のアセスメントを指導に活かすためには,その処理過程にたくさんの鍵が隠されている。新時代の検査はいずれもそこに多くの力を注ごうとしている。WISC-IVには二つのバージョンがあると言われる。ひとつはWISC-IVそのものであり,もう一つは,WISC-IVインテグレーテッド(統合版)である。
後者は,WISC-IVの基本的データを得た後に,さらに具体的指導につながる認知機能を明らかにするために,その知的処理過程を解明するためのツールである。我々もこうした認知検査類の最終ゴールをそこに置くならば,こうした統合版の開発を急がなければならない。

 本書では,このWISC-IVインテグレーテッドについて第4章と第5章で詳細に扱っている。この二つの章はニューヨークに在住し,スクールサイコロジストとして活躍されている友人のバーンズ亀山静子さんに担当してもらった。WISC-IVインテグレーテッドについて扱った本は,本邦では本書が最初であると思う。実際にこのWISC-IVインテグレーテッドを日常の仕事で使用し,わが国での普及を希求する彼女こそ,この章を訳すのにふさわしいと,共訳者として彼女を選んだ理由である。しかも4章の著者であるGeorge McCloskey先生は彼女の友人でもあり,訳について直接相談することもできた。
時間はだいぶかかったが,日本版WISC-IVの完成にあわせて,本書を出版できることは大きな喜びである。臨床家にとっても研究者にとっても,WISC-IV等,心理検査類を人々のために本当に役立つツールとして発展させるためには,たくさんの研究の集積による,こうした専門書が必要であることを改めて感じる。わが国の児童のデータに基づく研究が本書によって刺激され,花開いていくことを心から願うものである。
                   翻訳・監訳 上野一彦

 


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